親族に自閉症の人がいると、「自閉症と遺伝には関係があるのだろうか」と気になる人も多いのではないでしょうか。
近年の研究では、自閉症をはじめとする発達障害と遺伝の関係について、さまざまなことが分かってきています。
この記事では、自閉症と遺伝の関係性のほか、家族間での発症確率についても分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
自閉症とは?まずは基本を理解しよう
ここでは、自閉症の基礎知識について解説します。
どのような特徴があるのかを、改めて知っておきましょう。
自閉症(ASD)は発達障害のひとつ
自閉症とは「Autism Spectrum Disorder(ASD)」の略称で、「自閉スペクトラム症」とも呼ばれる発達障害のひとつです。
生まれつきの脳機能の特性によるものであり、親の育て方やしつけが原因ではありません。
また、大人になってから発症するものでもないとされています。
対人関係の苦手さや強いこだわりなどの特性が見られ、その程度や現れ方は人によってさまざま。日常生活で困りごとが生じ、周囲の支援が必要になる場合もあります。
自閉症の主な特徴や傾向
自閉症の主な特徴として、社会的なコミュニケーションの難しさや、強いこだわりが見られる点が挙げられます。
たとえば、相手の気持ちを汲み取ることが難しい、暗黙のルールが分かりにくい、集団行動が苦手といった傾向があるでしょう。
また、物事の手順やルーティンに強くこだわる、興味のあることに長時間集中し続けるなどの特徴が見られるケースも。
さらに、光や音、においなどに敏感に反応する「感覚過敏」が生じることもあります。
自閉症の特徴については、以下の記事でも詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。
自閉症の原因は?遺伝との関係
自閉症の原因についてはさまざまな研究が進められており、そのひとつとして遺伝的要因が考えられています。
ここでは、自閉症の原因として考えられている要因や、遺伝との関係について分かりやすく解説します。
自閉症の原因は完全には解明されていない
自閉症の原因については、現在もまだ完全には解明されていません。
一方で、子どもの育て方やしつけ、本人の性格、ストレスなどが原因ではないことは明らかになっています。
自閉症のある方は、てんかんを併発する場合があるほか、感覚や運動の特性が見られることもあります。
こういった点から、自閉症は脳機能の特性に関係する先天的な障害と考えられています。
遺伝的な要因が関係していると考えられている
自閉症の要因のひとつとして、遺伝的要素が関係している可能性が指摘されています。
実際に、家族や近親者に自閉症の方がいる場合、いない場合に比べて発生する確率が高くなるというデータもあります。ただし、自閉症は必ず遺伝するわけではなく、遺伝的要因はあくまで原因のひとつであることに注意しましょう。
なお、両親が定型発達であっても、自閉症の子どもが生まれるケースは一定数あります。
参照元:兄弟姉妹およびいとこにおける自閉症の再発リスク:多国籍・集団ベースの研究
環境などさまざまな要因が関係している可能性
自閉症には、遺伝的要因のほかに「環境的要因」が関係している可能性も指摘されています。
たとえば、妊娠初期の喫煙や出生前後の栄養状態、早産などの影響が挙げられるでしょう。
ただし、環境的要因のみで自閉症が発症するわけではありません。
遺伝的な要因を基盤として、さまざまな要因が複合的に加わることで自閉症になる確率が高まると考えられています。
自閉症は遺伝する?親子・兄弟の確率
ここでは、親子や兄弟の間で自閉症は遺伝するのかについて解説します。
血縁関係の近さによって、遺伝の可能性や発症の確率は異なるとされています。
親から子どもに遺伝する可能性
現在のところ、自閉症の親から子どもへ遺伝する確率は明確にはわかっていません。
研究や調査によって数値に差があり、統一された結果が出ていないためです。
自閉症は、遺伝的要因だけでなく環境的要因など複数の要素が影響して発症すると考えられており、親子で遺伝するかは明確な数値を算出できていないのが現状のようです。
兄弟姉妹に見られる自閉症の確率
アメリカの研究によると、兄弟姉妹の間で自閉症が見られる確率は、約20〜70%とされています。
双子の場合は、一卵性双生児で約77%、二卵性双生児で約31%。
遺伝子がほぼ同じである一卵性双生児でも確率は100%ではなく、双子ではない兄弟姉妹の場合は約20%と報告されています。
これらの結果からも、自閉症の発症には遺伝子だけでなく、さまざまな要因が関係していることがわかるでしょう。
参照元:発達障害は遺伝する?遺伝との関係を解説!【確率・祖父母・親から・家系・特徴】 | 療育求人ガイド
必ずしも遺伝するわけではない
これまで述べてきたように、家族や親族に自閉症の方がいても、必ずしも遺伝するとは限りません。
定型発達の親から自閉症の子どもが生まれる場合や、兄弟姉妹のうち一人だけに自閉症の症状が見られるケースもあります。
このように、家族に自閉症の方がいるからといって、必ず同じように症状が見られるとは限らないことを理解しておきましょう。
自閉症の特性と強み
ここでは、自閉症の人に見られる特性と強みについて解説します。
自閉症をハンデとして捉えるのではなく、特性を活かしてさまざまな分野で活躍している人も多くいます。
興味のあることに集中できる
特定の対象や興味のあることに対して、高い集中力を発揮する人もいます。
いったん何かに没頭すると、長時間作業を続けられる特性は、多くの仕事において強みとなるでしょう。
たとえば、Webサイトのコーディングや綿密なイラスト制作など、きめ細やかさや丁寧さが求められる業務において有利となります。
自閉症の人が描くイラストの中には、細部まで丁寧に描き込まれているものも少なくありません。こうした集中力や継続力、細部へのこだわりは、創作活動や専門的な分野で力を発揮できる可能性があります。
そのため、イラストのプロフェッショナルとして活躍できる未来も期待できるかもしれません。
独自の発想や視点を持つことがある
自閉症の人の中には、他では思いつかない独自の発想や視点を持っている人も存在しています。それらが、従来の枠にとらわれない独創的なアイデアやデザインにつながり、高く評価されることもあるようです。
たとえば、Webサイトのデザイナーであれば、独自の世界観や視点から生まれるオリジナリティのあるデザインが、見る人の印象に強く残るかもしれません。
個性が重視されるクリエイティブな分野では、こうした独特の視点が新しい価値を生み出すきっかけとなり、大きな強みとなる場合もあります。
環境やサポートによって能力を活かせる
自閉症の人は、自分に合わない環境ですと、日常生活や仕事に困難を感じることもあります。
しかし、環境や周囲のサポートによっては、その能力を十分に発揮することが可能です。
たとえば、指示を具体的に伝える、メモに残す、複数の作業を同時に任せないなどの配慮があると、高い集中力や丁寧さを活かしやすくなるでしょう。
自閉症の人に向いている仕事については、以下の記事でも詳しく解説しています。
ぜひチェックしてみてください。
自閉症は早期の理解とサポートが大切
自閉症のある人は、周囲の理解やサポートによって能力を最大限に発揮できるとされています。
そのため、子どもの頃から自閉症の兆候に早く気づき、早期の段階から理解を示すことが大切です。
自閉症は「治す」ことを目的とするものではありません。
一人ひとりの特性を理解し、適切な関わり方を見つけていくことが重要です。
たとえば、
- どのような特性があるのかを見極める
- 感覚過敏に配慮する
- 「普通」を押しつけない
といった、子どもに寄り添う姿勢が、本人の自己肯定感を育てます。
家庭内の環境や関わり方、適切なサポートによって能力を活かしていくためには、まず家族が自閉症について正しく理解することが重要と言えるでしょう。
まとめ|自閉症は遺伝だけで決まるものではない
家族や親族に自閉症の人がいるからといって、必ずしも自閉症が遺伝するとは限りません。
自閉症の原因は現在も完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因など、さまざまな要素が複雑に関係して自閉症になると考えられています。
自閉症のある人が能力を最大限に発揮するためには、適切な環境づくりと周囲の理解・サポートが欠かせません。
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